この記事では、スマホの充電器によく書いてある
- 急速充電
- 高速充電
- QC(Quick Charge)
- PD(USB Power Delivery)
- PowerIQ・AUTO POWER SELECT・Auto-IC
の違いについて解説します。
充電速度について
この記事では、充電速度を「〇V〇A=〇W」といったカタチで記載しています。
バッテリーがリチウムイオン電池であり、容量が3000mAhを基準として、大雑把に単純計算すると、
3.7V・3000mAhとなり、そのバッテリーは11.1Whの蓄電なので、
5V1A=5Wでは、およそ2時間13分
5V2A=10Wでは、およそ1時間7分
9V2A=18Wでは、およそ37分
で満充電になる計算になります。
これは超単純に計算しただけなので、実際は違います。
バッテリーは、満充電に近づくと(80%以上くらいで)充電する電流量が徐々に下がり始めるので、完全に満充電にするには+20分~30分くらいを見ておくといいです。
電流量が下がり始めるのは、リチウムイオン電池は繊細なのでそういう風に充電しないと壊れたり爆発したりするからです。仕様です。
それぞれの特徴
ここからがメイン記事になります。
- 急速充電
- 高速充電
- QC(Quick Charge)
- PD(USB Power Delivery)
- PowerIQ・AUTO POWER SELECT・Auto-IC
の仕様について簡単に解説していきます!!
急速充電
急速充電は、100円均一の充電器などにも記載されていて、一番よく目にする充電規格かもしれません。
その急速充電ですが、これはぶっちゃけ規格なんてないです。
USB BCという規格がUSBの標準の充電規格としてあり、その定義ではUSB2.0の充電速度は「5V0.5A=2.5W」、USB3.0の充電速度が「5V0.9A=4.5W」となっているのですが、それ以上の速度で充電できる「1A」や「1.5A」や「2A」の充電器が「急速充電」という名前で売られています。
よく目にするのは、「5V/2A=10W」や「5V/2.4A=12W」での充電ですかね。
急速充電の充電速度ですが、充電器に2.4Aとか書いてありますが、実際はデバイス側で受け取ることができる最大電流で充電されるので、2.4Aの電流で充電されるのは対応デバイスのみです。具体的にはアップル製品等。
それ以外のデバイスは、デバイス側で受け取れる最大電流で充電されます。
USB BCの充電規格を使用しているデバイスが大多数なので、その上限電流である1.5A(「5V1.5A=7.5W」)での充電になります。
なのでアップル製品以外のデバイスだと、急速充電2.4Aのアダプタを使ってUSBの電流を調べるチェッカーやテスター挟んでも2.4Aでないことが多いです。
高速充電
高速充電は、apple製品に搭載されている高速充電の規格です。
アイフォンではiPhone8、iPhon8plus以降製品に対応しています。
充電速度は最大18Wとなり、最大「9V2A=18W」での充電がされます。
これは、3000mAhのバッテリーを凡そ37分で満充電にすることができる充電速度です。
高速充電をする条件は
- apple製品の対応デバイスであること
- Apple USB-C - Lightning ケーブルを使用していること
- USB PD対応のアダプタの使用、もしくはapple純正のUSB-C電源アダプタを使用していること
の3種です。
PD(USB Power Delivery)
「USB Power Delivery」。略称「PD」とは、USBに関する仕様の策定などを行っている「USB-IF」が定めたUSBの充電規格です。
最近は、PDに対応したデバイスも多く出てきていますが、安い機種や2018年以前の機種では対応していないデバイスも多いです。
PDの充電速度は「5V/9V/15V/20V」の4段階の電圧・最大電流は3A(20Vのみ5Aまで)というルールに則って、デバイス側で上限が決められています。
PD対応スマホは、大体「9V1.66A=15W」くらいの速度で充電され、最大が「9V2A=18W」上限の製品等が多いですが、最近(2020年夏現在)の機種では20W~25Wで充電できる機種も出てきています。
PD(USB Power Delivery)で充電する条件は
- USB PD対応のデバイスであること
- USB PD対応のUSBケーブルを使用していること
- USB PD対応のアダプタを使用していること
の3種です。
18Wを超える上限のスマホでは、PDのオプション規格であるPPS対応のアダプタでないと18W制限がかかりそれ以下で充電されるデバイスもあるようです。
QC(Quick Charge)
「Quick Charge」。略称「QC」とは、米国のQualcomm社の策定した充電規格です。
- Quick Charge1.0
- Quick Charge2.0
- Quick Charge3.0
- Quick Charge4.0
- Quick Charge4.0+
と徐々にバージョンアップされていていて、最新のQC4と4+は2017年にリリースされました。
QCもPDと同じく対応機種が多く存在します。古いデバイスでもQC2.0などに対応していることが多いです。
QC3の充電速度は「3.6V~20V」の間で200mV単位で可変する電圧と、「2.6A、4.6A」の2種類の電流で、最大18Wでの充電に対応しています。
QC4の充電速度は、QC3とほぼ同じですが電圧が20mv単位で可変しています。また、QC3よりもさらに細かなリアルタイムでの監視、最適な制御、2組の経路等によって充電速度が向上しています。
※ちなみに、QC1は最大10W、QC2は最大18Wで充電が可能です。QC2は電圧可変が5・9・12Vの3種類です
QC4+はQC4とほぼ一緒ですが、QC4に比べバッテリーが熱を持ちにくいように充電してくれます。
QCは現在も多くのデバイスで使われている充電規格ですが、PDが国際規格として定められたので、今後はQC対応製品が少なくなりPD対応のデバイスが増えてくるのではないかと予想してます。
QCで充電する条件は
- QC対応のデバイスであること
- 3Aor5Aの電流に対応したケーブルを使用していること
- QC対応のアダプタを使用していること
の3種です。
QC3対応のアダプタは下位互換性があり、QC2とQC1のデバイスにも対応しています。
QC4対応のアダプタは、QC3とPDにも対応しています。QC4に変わったことで一番大きいのはアダプタがPDにも対応したことですね。PD・QCどっち対応のスマホでも最適な充電をしてくれます。
(QC4対応アダプタはQC2、QC1への互換性がないのでQC2以下のデバイスにはUSB BCの通り5V1.5A付近で充電されます。)
PowerIQ・AUTO POWER SELECT・Auto-IC
PowerIQ・AUTO POWER SELECT・Auto-ICの3つは、充電器メーカー独自の充電技術です。
- AnkerのPowerIQ
- バッファローのAUTO POWER SELECT
- cheeroのAuto-IC
これらの技術は名前こそ違いますがやってることは一緒で、「接続されたデバイスを検出し、そのデバイスに最適な出力で充電する事」です。
上に高速充電やPDやQCと違い、これはアダプター側に搭載されている制御技術になります。
PDやQC未対応のデバイスだった場合は、ほとんどがUSB BCの最大電流である1.5Aで充電され、それ以上が設定されている僅かなデバイスが2Aや2.4Aなどで充電されます。
また、QCやPD対応のモバイルバッテリーやアダプタにこれらの技術が記載されている場合は、デバイスがQCやPDに対応していた場合はQCやPD、appleの場合は高速充電で充電されます。
まとめ
・急速充電は一般的に「5V1.5A=7.5W」以上で充電することができる充電器。
・ただし、粗悪品だとそれ以下の充電速度の製品もあるため注意が必要。
・高速充電はappleの充電規格で「9V2A=18W」で充電可能。
・PDの充電はデバイスによるが、スマホの場合は「9V2A=18W」で充電可能なデバイスが多い。
・QCでの充電は「9V2A=18W」での充電が可能。
・PowerIQ・AUTO POWER SELECT・Auto-ICは充電規格ではなくメーカーの技術のことで、デバイスを検出して充電する電力を調整する機能のこと
最速で充電したい場合は、
iPhoneなら、Apple USB-C - Lightning ケーブルを買ってPD対応アダプタで高速充電。
androidなら、PDかQCに対応してると思うので、スマホの仕様を調べてからQCかPD対応のアダプタ買って高速充電。
すると、バッテリーがほぼ0の状態でもおよそ1時間くらいで満充電になりますのでお勧めです!
以上!閲覧ありがとうございました。