モニターアームの製品名には、「ガススプリング式」「クランプ式」「5軸」「チルト対応」といった言葉が並びます。同じ並びに書かれているので、どれも同じ種類の分類に見えます。ただ、実際にはそれぞれアームの別々の部分を指しています。「クランプ式かガススプリング式か」のように一列に並べて比べるものではありません。1つの製品が、机への固定、重さの支え方、画面の向きの変え方などで、それぞれ別の特徴を持っています。
この記事では、言葉ごとに、アームのどの部分の話なのか、その部分で何が決まるのかを整理します。説明はメーカーの公式資料に基づいています(確認日は記事の末尾に記しています)。記事内の図は、仕組みを示すための模式図です。
製品ページの言葉は、アームの別々の部分を指している
アームは大きく5つの部分に分けられます。机に固定する部分、土台から立ち上がる部分、重さを支える仕組み、腕、画面を付ける金具です。製品ページに出てくる言葉を部分ごとに並べると、次のようになります。
| 部分 | 製品ページの言葉の例 | その部分で決まること |
|---|---|---|
| 机への固定 | クランプ、グロメット(穴固定) | 机のどこに、どう固定するか |
| 土台からの立ち上がり方 | ポール(支柱)、短いベース | 腕の付け根の位置と、高さの変え方 |
| 重さの支え方 | ガススプリング(ガス圧式)、メカニカルスプリング、締めて固定 | 画面を手で動かせるか、手を離した位置で止まるか |
| 腕 | 関節の数(2関節、3関節など) | 画面の位置(前後・左右・高さ) |
| 取付金具 | チルト、パン(スイベル)、ローテーション | 画面の向き |
製品名にある「5軸」のような軸の数は、動く箇所を数えたものです。どこを1つと数えるかはメーカーによって違うので、数字だけでは比べられません。確かめ方は記事の後半で説明します。
机への固定:クランプとグロメット(穴固定)
机への固定には、主に2つの方法があります。クランプは、天板の縁を上下から挟んで締め付ける方法です。机に穴を開けずに取り付けられます。グロメットは、天板に開いている穴へボルトを通して固定する方法です。メーカーによっては「穴固定」と書かれています。エレコムのDPA-SS07BKの製品ページ(現在は販売終了の製品です)でも、クランプは天板を挟み込み、グロメットは天板の穴に通して固定する方法として説明されています。
どちらの方法で固定できるかは、天板の厚さだけでは決まりません。材質、縁の形、裏側の補強フレームによっても変わります。机側の条件は、モニターアームの取り付け条件をまとめた記事で確認できます。
土台からの立ち上がり方:長いポールと短いベース
ポールは腕を出す位置の違いで、重さの支え方とは別
机に固定した土台から腕がどう出るかには、大きく2つの形があります。1つは、長い垂直のポール(支柱)を立て、腕の付け根をポールの好きな高さに固定する形です。もう1つは、短いベースからそのまま腕が出る形です。
ポールは「どこから腕を出すか」という形の違いで、「重さをどう支えるか」とは別の話です。ポールがあるからガススプリングではない、ということにはなりません。実際、先ほどのDPA-SS07BKは、製品ページで「支柱付きのガススプリング式」と書かれています。
高さの変え方:腕を傾けるか、ポールに沿って動かすか
画面の高さの変え方も、構造によって違います。腕を上下に傾けて高さを変える構造では、腕の角度が変わります。そのため、同じ腕でも、真上から見たときの長さ、つまり前後に占める長さが変わります。一方、ポールに沿って腕の付け根の位置を上下させる場合は、腕の角度を変えずに高さだけを変えられるので、前後に占める長さは変わりません。
この違いは、机を壁に付けて使うときに、画面がどこまで奥へ下がるかに関わります。使う高さによって奥へ下がる限界がどう変わるかは、壁際でモニターアームを使えるかを判断する記事で説明しています。
重さの支え方:ガススプリング、ばね、締めて固定する方式
ガススプリングが画面を好きな高さで止めておく仕組み
モニターは、スタンドを外しても数kgあります。腕の先に付けた画面を好きな高さで止めておくには、その重さを支える仕組みが要ります。
ガススプリングは、筒(シリンダー)の中にガスを封じ込めた部品です。押し縮めようとすると中のガスが押し返し、その力がばねのように働きます(参考:スガツネ工業によるガススプリングの解説)。
ガススプリング式のアームは、この押し返す力を画面の重さとつり合わせています。重さを打ち消すように支えるので、手で軽く上下に動かせて、手を離した位置で止まります。メーカーによっては「ガス圧式」とも書かれています。
金属のばねで支える方式と、締めて固定する方式
重さの支え方は、ガススプリングだけではありません。サンワサプライのモニターアームのカテゴリーページでは、ガス圧で軽く動かすガススプリング式と並べて、金属製のばねを使って支えるメカニカルスプリング式が説明されています。ばねとして働く力で画面の重さを支える点は同じで、その力を生むのがガスか金属のばねかが違います。
これとは別に、ねじやレバーを締めて位置を固定する方式もあります。たとえばサンワダイレクトの100-LA010の組立説明書(PDF)では、アームをベースに差し込み、レバーを締めて好きな高さで固定する手順になっています。高さを調節した後も、レバーを締め込んで固定します。この方式では、高さを変えるたびに緩めて締め直す必要があります。そのため、手で軽く動かすことより、決めた位置でしっかり止めておく使い方に向いています。
公式資料に支え方が書かれていない製品もあります。その場合は、製品名や見た目から方式を決めつけず、分からない点として扱います。必要ならメーカーに確かめます。
保持力の調整と、対応重量の下限
ガスやばねの力で支える方式では、その力と画面の重さがつり合っていないと、画面が下がったり上がったりします。そのため、モニターの重さに合わせて保持力を調整する仕組みがあります。DPA-SS07BKの製品ページにも、保持力を調整できることが書かれています。
調整できる力には範囲があるので、対応重量に上限だけでなく下限が書かれている製品があります。比べるのは、スタンドを外したモニター本体の重さです。軽すぎる場合に起きることや重さの調べ方は、取り付け条件の記事で説明しています。
立ち上がり方と支え方は、別々に組み合わさる
土台からの立ち上がり方と重さの支え方は、別々に組み合わさります。長いポールにガススプリングの腕を付けた製品もあれば、短いベースからガススプリングの腕が出る製品もあります。次の図では、この2つを別々の枠で示しています。図のポールの例は、特定の製品を描いたものではありません。

取付金具の動き:チルト・パン(スイベル)・ローテーション
腕の関節は位置を、取付金具は向きを変える
腕の関節が変えるのは、画面がどこにあるかという「位置」です。関節を水平に回すと、画面の向きも一緒に変わってしまいます。そこで、腕の先の取付金具で向きを正面へ戻したり、好みの角度に合わせたりします。取付金具は、モニター背面のネジ穴(VESA規格の穴)に固定する部品で、この記事の図では「取付ヘッド」と書いています。
上下の傾き、左右の向き、画面の回転の違い
取付金具が受け持つ向きの動きは、次の3つに分けられます。
- 上下の傾き(チルト):うなずくように、画面を上向き・下向きに傾ける動き
- 左右の向き(パン、スイベル、首振りなど):首を横に振るように、画面を左向き・右向きに変える動き
- 画面の回転(ローテーション):時計の針のように画面そのものを回し、横長と縦長を切り替える動き

角度や「5軸」の数字は、どの軸の動きかを図で確かめる
メーカーによる呼び方と書き方の違い
同じ動きや仕組みでも、呼び方や書き方はメーカーや資料によって違います。たとえば次のような例があります。
- エレコムは、DPA-SS08BKの製品ページで、取付金具の動きを「パン」「ローテーション」「チルト」と書いています。
- サンワダイレクトの100-LAC003は、商品ページでは「ガス圧式」、取扱説明書(PDF)では「ガススプリング式」と書かれています。同じ製品の同じ仕組みで、呼び方が違うだけです。
- HAMILeXのMA-21Dの製品ページには、「左右各90度」と「左右各180度」の両方が出てきます。特長欄では、取付金具の左右の向きが左右各90度、画面の縦横の回転が左右各180度です。同じ「左右」でも、別の動きを指しています。
軸の数より、図に描かれた動く部分を1つずつ見る
画面の左右の向きは、取付金具を回しても、腕の関節を回しても変わります。そのため、「左右90度」のような角度の数字だけでは、それが取付金具の動きなのか、腕の動きなのかは分かりません。寸法図や説明書の図で、その角度の矢印がどの軸に付いているかを見ます。
「5軸」のような軸の数も同じで、どこを1つの軸と数えるかはメーカーによって違います。数を比べるより、図に描かれた動く部分を1つずつ見て、腕のどこが水平に回り、取付金具がどの向きに動くかを確かめる方が確実です。実際の製品で角度がどう書かれているかは、3製品で寸法図の読み方を確かめた記事で、軸ごとに表にまとめています。
用語が分かったら、次に確かめること
言葉の意味が分かったら、次は自分の机とモニターに当てはめます。
- そもそも取り付けられるか(VESA規格、モニターの重さ、天板の材質や厚さ):モニターアームの取り付け条件と設置前の確認方法
- 机を壁に付けたままで、画面が見たい位置に収まるか:壁際のモニターアームの選び方
- 寸法図の奥行き・高さ・角度の数字をどう読むか:モニターアームの寸法図の読み方
この記事で参照したメーカーの資料は、2026年10月16日に確認しました。記事内の図は模式図で、実製品の形や内部構造、縮尺を再現したものではありません。アイキャッチはAIで生成したイメージで、実在する製品の形を示すものではありません。
